コア技術 生産技術

長年蓄積・深化された共通基盤技術をベースに、高度に洗練された材料技術、材料技術を融合しさらなる高機能化を達成する機能設計、安定的に高品質な製品生産を可能にする生産技術をコア技術として保有しています。またお客様の期待に応える取り組み、素材利用の提案を通じて培った、各種素材を部材に組み上げる部材設計の技術も保有しており、素材の機能を極限まで引き出します。 

ガラス溶融・成形プロセス

板ガラスは、精緻に調合された原料を溶解槽に投入して高温下で溶融し、液体状となったガラスを引き出して冷却しながら板状に成形する連続プロセスで生産されます。泡や異物、歪みなどのない均質で平坦なガラスを得るため、材料の物性や製品の要求特性に応じて、化学反応や熱・物質の移動現象を、科学的に理解し精密に設計・制御することが求められます。AGCでは、建築用・自動車用ガラスの溶融・成形プロセス技術を深化させると共に、ディスプレイ用の無アルカリガラスやスマートフォン向けカバーガラス用の特殊ガラスなどに技術を進化させて事業を展開しています。また、技術基盤を更に発展させ、新しい価値や機能を創出するガラス╱材料に対応するプロセス開発や、カーボンネットゼロを実現するプロセス開発にも挑戦しています。

電子部材用ガラス
電子部材用ガラス
建築用ガラス
建築用ガラス
自動車用ガラス
自動車用ガラス
ディスプレイ用ガラス
ディスプレイ用ガラス

ガラス加工・複合化プロセス

ガラスは、希望するデザイン形状への加熱成形、熱処理やイオン交換による高強度化、外周加工や孔あけ、表面の平坦化や改質・微細構造付与など、様々な加工プロセスを経て付加価値を上げていきます。また、樹脂などの異種材料と複合化させることで、化学的耐久性やガスバリアー性などガラスの長所を活かしたまま、弱点である脆さを補い、新たな機能・価値を持つ「部材」へと生まれ変わります。加工・複合化のプロセスは、曲げ・プレス成形技術、風冷強化・化学強化技術、レーザー・機械加工技術、研磨・洗浄技術、エッチング技術、プラズマ技術、3Dプリンティング技術、ガラスと樹脂の貼合や一体成形技術など、多岐にわたる要素技術群に支えられています。こうして完成した製品は、自動車の内外装用ガラスをはじめ、ディスプレイ用ガラス、スマートフォンカバーガラス、EUV(Extreme Ultraviolet)マスクブランクスやレンズなどの電子・光学部材に幅広く適用されています。また最近では、バイオ分野も含めて、マイクロデバイスへの応用も進んでいます。今後も、市場ニーズの変化や要求機能の高まりに先回りして対応することを目指して、プロセス技術を進化し続けます。

車載ディスプレイ用カバーガラス
車載ディスプレイ用カバーガラス
合成石英ガラス
合成石英ガラス

コーティング

AGCは、スパッタリングに代表されるPVD(Physical Vapor Deposition)から、CVD(Chemical Vapor Deposition)、湿式コートまで幅広いコーティング技術を保有しています。コーティング技術を用いてガラスや樹脂フィルムなど様々な材料で、光の透過/反射や吸収、電気特性、撥水/親水性を制御することが可能です。最近では、極端紫外線からミリ波まで、様々な波長の電磁波制御に用いられています。極端紫外線制御の例としては、EUV光(波長13.5nm)を用いた露光用マスクブランクス事業にコーティング技術が使われ、戦略分野であるエレクトロニクス関連事業に貢献しています。

赤外線吸収ガラスフィルター
赤外線吸収ガラスフィルター

化学プロセス

AGCでは、塩(NaCl)水の電気分解を起点とした基礎化学品からフッ素化学品などの高機能製品まで、枝葉を伸ばしたケミカルチェーンで製造しているのが大きな特徴です。素材メーカーの研究所で開発された素材・材料は、実際に工場で安定して生産されることで初めて製品となります。いかに生産するか、生産ラインの中でどのようにして付加価値を高めていくか、モノづくりの力が問われます。化学プロセスでは、有機化学・無機化学・化学工学を活かして、新たに上市される製品のプロセス開発を先導し、安全・品質管理と環境へのきめ細かな配慮を行き届かせたプロセスを実現してきました。独自性の高い先端技術や、環境負荷の低い技術の獲得を通じて、保有技術を進化・深化させながら、モビリティ・エレクトロニクス・ライフサイエンス・環境分野に貢献する製品を、世の中に提供し続けています。

ラボ蒸留塔
化学プロセス実験室

樹脂成形

フッ素樹脂フィルムの押出成形・熱ラミネートをはじめ、樹脂材料及びガラスと樹脂を一体化する射出成形技術を保有しています。また、ガラス・樹脂材料への機能付与、複合化のニーズに応えるため、Roll to Rollコーティング、接合・貼合技術を深化させています。材料だけでなく、形状を付与することによる高付加価値・高機能化を図り、モビリティ、エレクトロニクス分野の新製品開発に向けて、各種成形加工技術の提案を行っています。

Fluon PTFEシート・丸棒・ビュレット
Fluon® PTFEシート・丸棒・ビュレット
エレクトロニクス用離型フィルム
エレクトロニクス用離型フィルム

医薬品原薬製造

AGCでは、低分子からバイオまで幅広い医薬品の製造や製造プロセス技術の開発を受託・代行するCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)ビジネスを展開しています。そのために、原材料の入庫から製造、最終製品の出庫に至るすべての過程で、有効性の高い、品質の安定した医薬品原薬を提供できるGMP(Good Manufacturing Practice)体制を構築しています。プロセス開発からGMPに準拠しており、お客様のニーズに応えて、人々の健康に貢献しています。

AGCファーマケミカルズ・ヨーロッパの
反応槽
AGCバイオプラント(千葉)の
微生物培養槽
AGC Biologics(シアトル)の
シングルユース動物細胞培養槽

バイオプロセス

タンパク質はバイオ医薬品や産業用酵素といった用途で活用されており、AGCではタンパク質製造に必要な遺伝子組換え技術や微生物・哺乳類細胞の培養技術、タンパク質精製技術、分析技術を開発してきました。タンパク質を医薬用に製造するためには高度な技術が必要であり、AGCはタンパク質医薬品製造に関する豊富な知見・ノウハウに基づいて、バイオ医薬品原薬の受託開発・製造(バイオ医薬品CDMO)事業を展開しています。遺伝子組換え技術は、目的物質を産生する細胞株構築において、とても重要な役割を果たします。AGC独自の分裂酵母を宿主とした異種タンパク質発現システム(ASPEX)をはじめとした、様々な宿主による遺伝子組換えタンパク質の長期に及ぶ確かな開発実績があり、更にオミクス解析や情報科学的知見を取り入れた遺伝子組換え技術の高度化にも取り組んでいます。微生物・哺乳類細胞を大量に増殖させる培養技術は、様々な生物由来製品の製造に不可欠で、AGCでは大腸菌や酵母、CHO細胞の培養経験を豊富に有しています。また、新規の治療モダリティである細胞治療・再生医療に活用できるヒト幹細胞(ヒトiPS細胞やヒト間葉系幹細胞など)の培養技術開発も行っています。こうした技術の強化は、バイオ医薬品CDMO事業への貢献のみならず、バイオプロセスを活用した省資源型生産プロセス構築への展開も視野に入れています。

AGC Biologics(ミラノ)の細胞培養
AGC Biologics(千葉)の培養
AGC Biologics(ハイデルベルグ)の
微生物培養槽(pDNA)